テリハノイバラ

テリハノイバラ
福島県会津地方 2008年6月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : バラ亜科 Rosoideae
: バラ属 Rosa
: テリハノイバラ R. luciae
学名
Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crép. (1871)[1]
シノニム
和名
テリハノイバラ(照葉野茨)

テリハノイバラ(照葉野茨[3]学名: Rosa luciae)は、バラ科バラ属落葉または常緑つる性低木。海岸や河原、山地で地面を這うように生える。和名は、葉がかたく光沢があることに由来する[4]。別名、ハイバラ[1]

分布と生育環境

日本では、本州四国九州琉球列島に分布し[4]、日当たりのよい海岸や草原[4]、河川敷の礫地、造成地、山間部のブナ帯の裸地や草原などに自生する。アジアでは、朝鮮中国本土に分布する[4]

特徴

落葉広葉樹のつる性低木[4][3]主幹は根から放射状に長く地面を這い[4]、あまり太くならない。は無毛で、まばらに鉤形のがあり[4]、側枝は直立して先端にはがつく。つるは緑色や紅紫色で細かい筋が見えるが、太いものは淡褐色で表皮が裂ける[3]。トゲは下向きにやや曲がる[3]奇数羽状複葉で、7 - 9の小葉からなる。小葉は厚く、円形または広卵形で、縁にはあらい歯牙があり、表面は深緑色で光沢あり、裏面は黄緑色になる。冬でも葉が残ることもよくある[3]

花期は6 - 7月[4]。枝の先端に径2 - 3.5センチメートル (cm) の白色の5弁花を、数個から数十個つける[4]花序の主軸は稲妻形に屈曲する。花はノイバラよりも大きく、芳香がある[4]果実はやや大きく、長さ8 - 10ミリメートル (mm) の卵球形になり、赤熟し光沢がある[4]。赤い果実は冬にも残ることがある[3]

冬芽はいぼ状でごく小さく、互生する。葉痕は細い三日月形や横線状で、維管束痕は不明瞭である[3]

野生のバラの普通種としてはノイバラがあるが、本種は葉のつやが強いこと、葉が小さく揃っていること、花の数が少なくて、一つ一つはずっと大きいことで区別できる。

  • 葉に光沢があり、照葉という。
    葉に光沢があり、照葉という。
  • 果実 11月
    果実 11月

利用

バラの園芸品種接ぎ木する際、本種が台木として利用される[3]

下位品種

  • リュウキュウテリハノイバラ Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crép. f. glandulifera (Koidz.) H.Ohba
  • トゲナシテリハノイバラ Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crép. f. ohwii (Oishi) Yonek.

脚注

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crèp. テリハノイバラ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月19日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rosa wichuraiana Crèp. テリハノイバラ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月19日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 155
  4. ^ a b c d e f g h i j k 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 208.

参考文献

ウィキメディア・コモンズには、テリハノイバラに関連するメディアがあります。
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、155頁。ISBN 978-4-416-61438-9。 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、208頁。ISBN 4-522-21557-6。 
  • 佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本Ⅰ』平凡社、1989年2月。ISBN 4-582-53504-6。 
分類群識別子
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